78歳の母のところに、北海道の蟹業者から電話があったそうだ。
「去年もお買い上げいただいたので、今年も送ります。」
「北海道の蟹は、今が旬!お買い得ですよ!」
はて、去年買ったかな、と考えながら、
「いや、今は食べないから、いいですよ。」
とお断りすると、
手のひらを返したように、いきなり
「おいおい、買ってくれや、ばあさんよー!」
「送るって言ってるじゃねーか、送るからな!」
と大声を張り上げたそうです。
怖くなって、
「いいです、いいです!」
と押し問答しながら電話を切ったらしいが、その夜は怖くて眠れなかったという。
ただただ、静かに静かに過ごしているだけの二人なのに。
翌日、父が駐在所へ行って相談したところ、クーリングオフという制度があるから大丈夫、封は開けないように、とおまわりさんが言ってくれたらしい。
父がいなかったら、一体どうなってしまうんだろう。きっと母は、心配させないように、私に相談しないかもしれない。